走行中に写真が撮れたら!
ツーリングの時、走行中に写真を撮れたらいいのに、と思うことがよくありました。
走りながらカメラを出してシャッターを切るのは至難の業であるし、ベストショットは突然に訪れるものです。
実現すれば、地点通過のタイムスタンプにもなるので旅ログを振り返るにも役立つでしょう。
そこで、かなりの気合を入れて、車載カメラの開発に取り組みました。
幾つもの構想がありまして、例えば防水ケースに入れてフロントカバー内に固定してしまって、撮影後に記録したメディアを取り出す方法とか、ハンドル下にパイロンを設置して、取り外しのできるカメラをぶら下げる方法など、いろいろ考えました。
ベースとなるカメラに要求されるのは、外部電源で稼動できて、オートパワーオフも解除できて撮影可能状態を保持できる、というものです。
ある日、PansonicのSV-AS10という小さなカメラをオークションで見つけて、仕様を調べてみると、その要求を満たすことがわかりました。
元々の仕様として外部リモコンの機能もあります。
本体のオーディオジャックに接続した純正品のリモコンがあれば、リモートシャッターも可能なのですが、手に入れたセットにはリモコンは付属していません。
そのリモコンシャッターの動作仕様も分からなかったので、結局、本体をばらしてシャッター線を引き出すことにしました。
本体側面のシャッタースイッチとなるタクトスイッチがあります。この一方の端子がスイッチオンでアース側に落ちるとシャッターが切れます。
タクトスイッチの端子から、ポリウレタン線を使って配線を伸ばし、USB端子のデータラインの一つ(7番端子)に接続します。
使わなくなったデータラインは、基板上のパターンをカッターでカットしておきました。
この引き出した配線とGNDラインの間にスイッチを組めば、それがシャッターとなります。
常時駆動させるための電源は、ハンドルUSB電源から取りますので、ハーネスを製作します。
コネクタは、エレコムのUSB-SCMF8Uというケーブルから流用しました。
SV-AS10の駆動は4.8Vとなっていますが、ハーネス中にダイオードを1本入れて、+5Vからダイオードの電圧降下で目標とする電圧を得ています。
さて、電源供給方法ですが、これは仕様で単純にUSBバスパワーをかけただけでは「再生モードに切り替えて下さい」とのメッセージが出て、撮影することができません。
USBクレードルに差した状態なら撮影もできるので、充電のラインで給電すれば良いことがわかります。
この配線変更には少し悩みましたが結局、コネクタ流用のために購入したエレコムのUSB-SCMF8UというPC―カメラケーブルが、USBのデータラインが6番ピンではなく5番ピンに来ているので、本来の用途としては使えず非対応商品となっているのですが、それが逆に幸いして、本体側の改造無しに、USBケーブルの緑色のラインに4.8Vを通せば、外部電源駆動ができてしまうことがわかりました。
それらを総合して、ケーブルを作り、シャッタースイッチには大型タクトスイッチを採用し、ハンドルカバーに切れ込みを入れてカメラ運用時だけ取り付けて使うことにしています。クリック感がしっかりしているので、グラブをしていても間違いなくシャッターを切れます。
カメラの設置場所をハンドル上部にしたのも好都合で、乗車位置からカメラの電源ランプがよく見えて電源が入っているか、シャッターが切れたかを、点滅状態で確認することができます。
ハンドル上パイロン(マウント)は、CatsEYEの自転車用ライトのマウントの流用です。
そしてカメラとGPSをマウントするためのケースはアルミ板で製作しました。使用頻度の高いGPS単体のマウントもオプションとして作りました。
これで走行中であればV100からの電源供給でいつまでも連続稼動ができるようになりましたが、休憩時などメインキーを切った時には、うっかりカメラの電源を切り忘れるとみるみるカメラのバッテリーを消耗してしまいます。
完全に消耗し切ると、「バッテリーがありません」のメッセージが出て起動すらできなくなります。
このようなミスの対策としても、ツーリング行動中には専用のクレードルとACアダプタを持ち歩いて、毎晩宿で充電するようにしています。
PansonicのSV-AS10は、小さく作られていることや、レンズを正面に向けられることなど、まさにツーリングカメラのために造られているようなカメラだと思いました。走行中にいつでもシャッターを切ることができるので、ログ解析用にタイムスタンプとして使用したり、コーナリング中の写真とか、とっさに遭遇する場面において絶大なる威力を発揮しています。
以下は、撮影したサンプルになります。
コーナリング中もシャッターが切れますし、突然の虹も撮れちゃいます。