V100のメーターを考える

カテゴリ: V100ハンドルまわり — 2013/02/04

V100のメーターは大変合理的にできているゆえにチープでもある。
一番困るのは、夜間に見づらいことだ!

V100はメーターランプの電球が一個だけなので、中心から外れる燃料計の側が暗くてほとんど見えない。オドメーターに至ってはまったく見えず、街灯の明かりで照らされる瞬間に確認するしかない状態でした。(T/MやGPSなどの装備もなかった時期なので、積算計が頼りだった)
またターンシグナルとオイルランプが兼用だったりと大変合理的ではありますが、表示される情報が物足りない感じは否めません。
そこで、メータランプの改善、時計、また各種インジケーターの装備を考えました。

■メーターランプ(バックライト)LED化

バックライトに5mmの白色LEDを6個使って、メーター全体が均等な明るさになるように配置しました。
そのうちの2個は積算計を横から照らしているので、夜間でも積算計がはっきり見えるようになりました。
ノーマルV100のメーター照明がオレンジっぽいのは、色を付けているわけではなく、色温度の低い電球の特性を上手く使っているので、オレンジっぽい光になっているのです。その点も本当に合理的で良く考えられたものだなあと感心してしまいます。

つまり白色LEDにすると透過光は白になってしまいます。そんな白っぽい光のメーターも最初は面白かったのですが、そのうち味気なく感じて、文字板の背後にオレンジ色のフィルムを貼ることにしました。

これは、いつだったか伊東屋で買っておいたものが手元にあったもので、舞台照明用のカラーフィルターなので耐光、耐熱性に優れた製品です。
さて、こうして夜間のメータの視認性が向上し、快適になりましたが、耐久性の点で問題がある事が分かりました。

白色LEDは熱に弱いのです。


作ったのが夏場で、直射日光の当たる中で渋滞の走行などもしていましたので、しばらく経つとLEDが熱で壊れてしまい、点いたり消えたり、ちらちら点滅するようになってしまいました。
LEDは交換です。これを繰り返さないために、対策としてcdsセルを使用して、周囲が暗くなったときにのみLEDを点灯させるような機能を追加しました。メーターパネル左下に小穴を開けて、その下にcdsセルを配置します。これでFETを駆動してバックライトのオンオフをさせています。
この回路を追加してからは、LED寿命を飛躍的に向上させることができて、7年間トラブル無しで運用することができました。

■時計は重要な装備
乗り物にとって、時間と距離は大変重要な要素。
ツーリング時でも、仕事で移動するにも、車載の時計は欠かすことのできない重要なアイテムです。
走行中にジャケットの袖をめくって腕時計を確認するのは、冬場などかなり至難の業。
そこで車載時計をいち早く装備することにしました。ユニットはDAYTONAのコンパクトクロックを使用します。分解して、メーター内にビルドインです。

イキナリ完成写真ですが、透過光を利用するために基板を90度立てるところが苦労しました。
(※現行のコンパクトクロックは仕様が変わって、こんな苦労は不要ですが)

メーターバックライトの照明を液晶に透過させて、夜間も視認できるようにするため、液晶の裏側に貼ってあるアルミテープをはがして、さらに拡散のために白いプラスチック板を取り付けます。
このプラ板の素材はというと、豆腐の入っていた白パッケージから流用しました。豆腐のパッケージから厚みの均質な部分を切り出して使ってみますと、つや消しの質感がベストマッチでした。

メーターパネルの時計窓は切り抜きましたが、AG100はM,N型までが、文字版がクリアのプラスチック板に塗装が施されている造りなので、切り抜かなくても、剥離剤などで上手く塗料を剥がすことができればそれで十分でした。Sタイプからフロスティなつや消し透明プラスチック板に塗装されているため、どうしても窓を切り抜かなければならなかったのです。

配線はピンヘッダを使用して、メンテナンス時を考えて分断できるように作りました。
3本はハンドルカバー下に設置した二つのスイッチへ。2本はボタン電池に接続して完成。

その外付けの電池は、当初ボタン電池用の電池ホルダに入れてから熱収縮チューブで覆っていたのですが、振動でホルダの接点がヘタったり、雨水の浸入で錆びて接触が悪くなったりして使えなくなることがしばしば。これも試行錯誤を繰り返し、結局はボタン電池に直接ハンダ付けしてリード線を取り出す方法で決着しています。(電池の半田付けは破裂に注意し素早くです)

スイッチの場所や防水方法も苦労して、何度も改修を重ねる結果になりました。スイッチ端子間には、僅かな電流が流れるだけでONと検出されてしまいます。少しの浸水が時計の機能を麻痺させます。

写真上右は最終型のスイッチ。
プラスチックのステーに大型タクトスイッチを取り付け、タクトスイッチの可動部分をビニールで覆って防水し、このユニットをビス止めで設置しました。作りこんだだけあって堅牢です。

延長したボタン部分の長さが違うのは、多用する日付秒表示のボタンと、時刻合わせのボタンとの使い分けです。

下はNEWコンパクトクロック。液晶裏面のアルミを剥がしたところ

さて液晶は熱に弱いものです。南国の日差しの中でこのⅠ型は4年もしないうちに液晶が完全に壊れて7セグの文字が読み取れなくなり、ユニットを再製作することになりました。
次にⅡ型を製作するという時点では、DAYTONAのNEWコンパクトクロックは構造が改善されており、ケースの作りも良くなっていました。
液晶と基板との接触部分は導電性ゴムだけですから、構造上重要な箇所です。Ⅰ型では90度立てたのでここが弱点となりました。
今回は、安定性を高めるために、メーターランプの透過光を使用せず、小型の白色LEDを組み込んだ専用バックライト仕様とします。
液晶を裏側からしっかり固定できるので、信頼性が向上します。
しかし、LEDの光を拡散させることがなかなか難しく、ついに面全体を均一に発光させるには至りませんでしたが、これはこれでよしとします。
メーターパネル裏面への取り付けは、フェールレベルメーターのユニットとの干渉を避ける必要があります。
裏蓋は使わない代わりに、細いステンワイヤーで補強してあります。(ツメがあるので、こうしなくてもほぼ基板は固定されていますが)
とにかく、この新しいコンパクトクロックを使えばⅠ型のような苦労はせずに楽に製作できました。

■各種インジケーターを装備

メーターパネルの、Turn/OILランプがあった辺りに、カーボン調のテープを貼って目隠しして、3つの穴を開けます。初期はLEDを直にパネルに取り付けていましたが、分解メンテナンス時に困ったので、後にメーターケース側に3つのLEDを設置し、開けた穴から上手く顔を出すように取り付けました。
また、LEDの下にはインスタントレタリングを使って文字を入れました。BULB BEAM OIL な具合に

左:ヘッドライト断線警告灯
雨の日、バルブ切れの無灯火状態で気付かずに走っていて怖い思いをしたのがきっかけで、装備することになりました。
当初はヘッドライトユニットにcdsセルを取り付けて、消灯を検出していましたが、のちに交流電流検出素子を使い、汎用オペアンプをコンパレーター動作にして3mmの黄色LEDをドライブしています。
ピックアップ部の詳細はこちら

中央がHiビームインジケーター
青色3mmLEDです。
これに先立ちヘッドライトリレーを入れたので、リレーを駆動する5Vの電圧の余りで、Hiビームインジケーターを点灯するように組みました。
但し、リレーをつけるときの設計として、逆起電圧には注意しなければいけません。リレーに通電していた電圧が解放されるときには、リレーのコイルから高電圧が発生してしまいます。
これを相殺するためにダイオードを入れておかないと、青色LEDが一発で昇天してしまいます。(実際にやってしまった)

右:オイル警告灯
点灯回路は、オイルタンク内のフロートスイッチにより液面がLOレベルにてオンになる仕様なので、基本は電球を電流制限したLEDに置き換えるだけなのですが、ノーマル状態ではターンシグナルと共用しているため、分離してやらなければなりません。
これもV100の設計思想であるシンプルで部品点数を少なくする構造を実現するための優れたアイディアなのですが、この際、思い切って水色線をカットしてます。
実際はカプラから水色線の端子を引き抜いた状態にして、熱収縮チューブで覆って端子自体は残してあります。こうしてターンシグナルから分離することができます。

ターンシグナルインジケーター
ウィンカーリレーをIC化して、ポッコンポッコンという音を出ないようにしたので、インジケータを付けます。
メーターハウジング左右に、5mmオレンジLEDを取り付けました。メーターのハウジングの裏に穴を開けて、差し込んでいます。配線は、ウィンカーのバルブと並列になるように繋いでやるだけです。(写真右)

ガソリン切れ警告灯
これは究極の夢の装備でした。
検出器の詳細はエンプティセンサのページで紹介しています。
3mm赤色LEDを設置した位置も、フェールレベルゲージ至近なので、直感的にガソリンの危機だとわかります。
LEDの設置にはフェールメーターのユニットが裏側に場所を占めているので、狭い隙間に90度足を折り曲げた状態でLEDを取り付けました。

そして単なるこだわりなのですが、キーオンで、まだエンジンを始動していない段階でオイルランプ、ヘッドライトワーニングが点灯するように回路を組みました。(4サイクルの単車で油圧が無いときと同等)
エンジンをスタートさせると通常動作に戻ります。
これはヘッドライトの交流ラインを検出して実現しています。
これに加えて、各部の駆動回路として、バックライトのオンオフをFETで行なうもの、ガソリンセンサからの信号をオペアンプで増幅させるもの、断線センサからの信号を増幅するもの、などがありますが、統合メーターユニットとして、一つにまとめて組み立てました。

これを小さなタカチプラケースに収納しメーターハウジングの左サイドに取り付けてあります。
普段はアルミテープで封をしてある、6つの穴からそれぞれの半固定抵抗の調整で、各LEDの明るさとか、入力のしきい値を設定出来るようにしてあります。写真右は取り付けの様子。
とにかく配線が多くなりました。

■実現しなかった機能

針先照明
夜間のメーター文字板の視認性は格段に向上したのですが、イマイチ針の位置が分かりづらいので、針に照明を取り付けようと思いました。
針の先が赤く光れば、それはまた綺麗なメーターになると思います。
針先にチップLEDを取り付けること自体、さほど難しくないのですが、ワイヤーで給電しようとすると細いワイヤーであっても針の動きが重たくなり、有線は無理だと分かりました。
携帯電話着信ランプの原理を利用して、非接触で点灯できないか模索しまして、実験段階では理論どうりに点灯させられましたが発信機の過熱などが対処できず、また怪電波源になってはいけないという思いもあり、未だに実装は出来ていません。

オイル警告灯の2段階表示
現状では、オイル切れの赤ランプが点灯したら、そこまで!という感じです。
ちらちら点灯しだす、という予告はありますが、走り続けられるのは、せいぜい35Kmが安全圏内ではないかと思います。
前回入れた時点から計算すれば、点灯時期を推察できるますし、ツーリング中にはオイルを携行して行くのですが、それにしても何の前触れも無くイキナリ警告というのは心もとないです。
そこで、もう一段オイルタンク内にスイッチを設けて、オイル警告灯は二色タイプのLEDを使用して、オイル残量が少なくなってくるとオレンジに点灯、かなり無くなってくると赤点灯という具合に2段表示にしようかと思いました。
この実現にはオイルタンク内のフロートスイッチを追加しなければならず、これも企画のみで実現はしていません。

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