航続距離200Km以上が一つの目安
満タンでどこまで走れるか、特にG・Sの少ない山間部を走る際には給油のタイミングを誤ると、あわやガス欠となりますので、ツーリングでは航続距離が大変重要です。
燃費向上のために押さえておきたいポイントや、実際に役立っているノウハウについて記します。
燃費とパワーはある程度両立する
パワーを上げるには、燃費が犠牲になると思われがちですが、極端にピークパワーを求めない限り、かえって良好な結果が得られたりもします。
実用域でのパワーが上がれば、加速時のスロットル開時間が短くなりますし、全体的にスロットル開度が小さくて済むからかもしれません。ボアアップも良い結果を生みました。
燃費は吸排気の効率によって大きく左右されます。燃費向上に著しく貢献したのは、かつてヤフオクで売られていたノーマル改マフラーというものでした。
外見はノーマルそのものですが、後ろから見ると排気管が太くなっているので見分けがつきます。中低速域が太くなった分、燃費向上に貢献したと考えています。
これは排気の開口部だけでなく、中身も手を加えられているとか。そしてシリンダーとの接続部、エキパイ部分の内部の段差も、ルーターで丁寧に削ってありました。
排気抵抗でデチューンするというのはメーカーも良く使う、確実にパワーを押さえる簡単な方法なのです。
かつて子供向けのPW50(キャロットと同一のエンジンのオフロード車)では、マフラー接合部にワッシャーのようなものを入れて口径を絞っていましたし、2サイクル4気筒マシンのRZV500でも、国内仕様はパワーを下げるためエキパイ内側にカラーを溶接して内径を絞ってありました。
スクーターだとマフラーの詰まりで極端にパワーダウンすることを経験ずみの方も少なくないと思います。
そのようなわけで、排気抵抗はパワーに直結、ひいては燃費を左右する要素なのです。
このノーマルマフラー改も、装着以前は26~29Km/Lほどだった燃費が、コンスタントにL30Km以上走るようになりました。(前のが詰まり気味だったのか?)ロングツーリング時に37Km/Lを記録した事もあります。ただ、この時はメインジェットのセッティングが薄めであったことも確かですが。
そのセッティングですが、燃費にストレートに影響を及ぼすのが、ニードルのクリップ位置です。
巡航速度域ではスロットル開度は極端に絞られ、ニードルで計量したガソリンで走っている状態です。
M/J変更の場合はそこまで顕著には変化が現れず、満タンにするサイクルで、じわっと数字に変化が出る程度になります。
2号機の場合、スロットル小開度域でガスが薄そうだったのでニードルの取付け位置を上げ(クリップを下げ)ることにしましたが、極端な燃費低下がみられましたので、クリップの下にワッシャを入れて中間のクリップ位置となるようなセッティングにしています。
それで、55mmピストンのボアアップと、キャブ拡大にビックリードバルブの装着までしてありますが、ツーリングでは、33Km/L以上がコンスタントに出ています。
燃費は乗り方による個人差もあるわけですが、走りは基本的にスタートダッシュをかけて(安全上)後続車との距離を開けておいて、後は流れに合わせた巡航速度を保つ、というものなので、スタート時はそれなりに開けています。
時にはガバッと開けてゆっくりな車を抜かせてもらって、脳にα波が出るような快適な巡航速度を維持するようにもしています。なので、燃費の追求にばかり腐心しているわけでもありません。
6LタンクのCE11Aですが、かつてはボアアップのみの状態でも満タンで200Km以上走った事がありました。
この満タンで200Km以上走れるチューニングを、ひとつの目標値としています。
そうするとリッター当たり33Km以上の燃費が求められることになります。
燃費はExcelで毎回付けていますが、それがコンディションを把握するためにも役立っています。時々行なう最高速TRYと合わせて、ベルトの減り具合などを判断する材料になります。
また、冬は燃費が悪い傾向にある事もわかりました。オートチョークが開く開度の大きさと、開時間が長くなるので仕方ないのでしょう。
燃費Excelのダウンロード (nenpi.lzh 9.33KB)
■燃費を悪化させる要因
吸排気系の変更、セッティング以外にも燃費に影響を及ぼす要因があります。これらは日頃から点検しておくと良い項目です。
フロントブレーキまわり
要はブレーキの引きずりに注意することです。
キャリパーの横スライドを支えているピンが2本あるのですが、下側のピンが通る穴の部分(キャリパー本体のアルミ)は内部が真っ白に錆びて内径を圧迫している事があります。そうなるとスライドが重くなり、パッドの片当たりや引きずりを起こします。そうなっていたら分解して、ゴムブーツも交換し、内部をペーパーがけする必要があります。
ピストンまわりもAG100T型以降はダストシールが簡素化されていますので、ダストシールの収まっている溝が錆でガサガサになったり、シールのめくれ、固着などによりピストンの動きを渋くする事があります。こうなるとブレーキの効きも悪くなっているはずですので、常にキャリパーのコンディションには気を遣う必要があります。
フロントホイールベアリングも意外と弱いのでチェックが必要です。
ディスク側のオイルシールがヘタリやすく、隙間ができて雨が浸入するまでになると、B/Gが錆びて異常磨耗、そのようにして、Fホイールにガタが出て、ディスクとキャリパーの当たり方が一様ではなくなります。ということは引きずりが発生して、走行抵抗が増えるということになります。
点火系
CDIの研究ページでも触れていますが、最終型以外はクランク1回転で2回の点火があり、これがプラグ寿命を短くしています。プラグは3000Km走行以内で交換した方が良い結果が得られます。
イリジウムプラグは、所有機では期待したほどの効果は出ませんでした。結局、標準型を早めのサイクルで取り替えることにしています。
そして、CDIユニットの端子の接触不良や、メインキーの接触不良、プラグキャップとプラグコードの差し込み不良なども燃費に悪影響を及ぼしますので、日ごろからの点検が大切です。
タイヤ空気圧
基本中の基本ですが、いつの間にか低下したまま運用し続けていたこともあります。まめにチェックし、やや高めに設定しておくと良いのは言うまでもありません。