始動不良の対応でチョークアップしてみる
V100の定番チューンに、豚鼻(ブタハナ)を外して吸入空気量を増やすというものがあります。しかし始動時にはガスが薄くなる傾向があるようで、始動性を悪化させるという報告もあります。そこで単刀直入にチョークユニットを分解して、吐出量の増加を試みました。
DIOの場合だとチョークバルブのニードル部分がクリップ式になっているため、その段数を変更すれば調整できるようになっているのですが、V100の場合はそれができません。
チョークユニットは厳密に調整されているので、原則分解禁止となっており、内部パーツもバラ売りされていません。しかしこの際です、プライヤーで筒状のケース(写真右端)をしっかり掴んで、反時計回りに一気に回せば、ねじロックの固着が外れてあっけなくチョークユニットをばらすことができます。合わせマークが付けられていると思うので、組み立てる際には、それがピタリと合うところまで締め込めば良いです。
チョークユニットの構造は、上から順番にPTCヒータ(セラミックヒータ)、その下にサーモワックスユニットがあり、そこにシャフトが刺さっているという仕組みになっています。
PTCヒーターにはゼネレーターからの交流電流が常時かかっていますが、セラミック半田ごてと同様に、発熱するにつれ電気抵抗が上がってゆくという特性があります。
PTCの熱でケースに入れられたワックスが膨張し、冷間時開いていたチョークバルブを押し下げ、チョークの流路を閉じるという動作原理。
つまりワックスユニットに刺さっているシャフトを短くすれば、冷間時の最大開度を上げてやることができます。
所有機は、当初1.5mm程度削って短くして、改善が見られました。削り過ぎたらアルミ板で詰め物をしてやればOK。
ただし、この方法は始動時に吐出するガソリンの量が増え、閉じるまでの時間も長くかかるわけで、特に冬場の燃費にはマイナス要因となるでしょう。
始動不良は、スタータージェットに新鮮な十分のガソリンが流れ込まない時に起きるようにも思われます。
そんな時、スタータージェットが付いている側へ、つまり右側に車体を傾けてみて始動性が改善されるのであれば、ここを疑うこともできます。
さて、オートチョークの調整には苦労したのですが、後になってから当方の所有機は油面の調整でカバーすることができました。
油面の上げ下げによって混合気の濃度を全体的に変化させることができます。
油面を上げるには、フロートがフロートバルブと接触している部分の金属片をフロートチャンバー側に曲げてやるのですが、曲げすぎると(濃いと)標高の高い所でエンジンのフィーリングがボコボコした感じになります。微妙な曲げで、始動性が改善されたと感じられました。(もっとも、キャブをバラす機会も多かったので調整がずれてしまっていたのかもしれませんが)
正規の油面高さは、最終型(規制後)のサービスデータがありますが、以下のようになっています。
フロートチャンバー合わせ面より約4mm(多分油面ゲージにて測定)
フロートチャンバー合わせ面からのフロート高さ18.5mm(多分逆さまにしての実測)
ご参考までに。