走りながらマシンと対話するのです
ライダーは大抵、走行中の自分のマシンの音を常に聴いて、コンディションを計り、それに応じた走り方をするものです。
ところが、スクーターはプラスチックのカバーで覆われているゆえに、エンジンや路面からの振動を受けて、あちこちがノイズ源となりやすく、いろんな音が出てきます。
ハンドルの下辺りから唸るような音が出る時は、レッグシールドカバーの中央を止めているビス(インナーポケット(ラック)の中にある大きなビス)を見てみましょう。汚れている場合は、振動により細かい削りかすが出ている事が考えられます。
このビスには段差が付いていてプラスチックを圧迫し過ぎないような構造となっていますが、プラスチック部分が磨耗してくるとガタツキが出てきます。そんなときは大きなワッシャをかましてレッグシールドカバーをしっかり留められるようにしてやればOK。
シリンダーを覆っているシリンダーカウリング、ファンケースも同様な理由で騒音源となりやすいので、シリコン(RTVゴムなど)でクランクケースに貼り付けておくのも良いです。
エンジンのアイドリング時にクラッチの辺からカラカラ…という音がする場合は、クラッチハウジングプレートの3箇所の穴が叩かれて拡大してガタついている場合があります。D社からセピア用?の「クラッチハウジングプレート」が安価に売り出されていたので、それを何回か取り替えたことがあります。
もっと困ったのは、
スロットルを開けたときにカリカリカリ…という激しい金属音がすること。
もしやE/Gのノッキング音ではないか?と非常に気がかりでしたし、本当のエンジンのコンディションを掴むためにはとっても邪魔になる騒音です。パワーオンにした時だけ出ます。
この音が出ているときに、左足を器用に使ってセンタースタンドを押し下げてみて、見事に音が止まる!という場合はセンタースタンドのシャフトが、エンジン高負荷時の振動で暴れているということになります。
(そうでなければ本当にノッキング音かもしれないので、吸気系から余計なエアーを吸っていないかチェックした方がよろしいでしょう。)
このスタンドの騒音もV100のシンプルな造りがマイナスに作用したものです。
スタンドとエンジンの間を、ただシャフトを通して割ピンで脱落防止してあるだけの構造なので、横から押さえつける力も無く、しかもセンタースタンドを掛ける度に、穴の部分に強い力が加わり、スタンドシャフトの穴も拡大してゆき、さらに状況を悪化させるのです。
そこで決定的な解決策!左右それぞれのシャフト貫通部をボルトで固定してしまうというもの。
ホームセンターで手に入るごく普通のボルトM10の1.25ピッチの細目ねじ、長さは50mmを使用します。
細目ならば全ねじではない(写真のように途中までしかねじ山が切っていないもの)が手に入るからです。
これを左右それぞれのシャフト穴に通して、程よく締めつけたら、ダブルナットにして脱落を防止します。滑りをよくしようとしてワッシャを入れてしまうと、それがまたノイズ源になりかねないのですが、手元にあったテフロンワッシャと重ねたものを一枚だけ内側で使用しています。
これは劇的に効きました。