ある日、突然セルモータが回らなくなった。
こういった場合は、大抵ハンドルスイッチ側の接触不良か、スターターリレーの動作不良が原因のことが多いのですが、この度は違っていました。
何と、スターターモータ自体の故障。しかもバラしてみるとブラシが磨耗しきっていて無くなっていました。これは、磨耗し切ったブラシの残骸。
このときの走行は4万キロ弱。中古で手に入れたばかりの機体でもあり、事情は分かりませんが、始動性が悪かったのか何かで、よほどセルを酷使していたのかもしれません。ブラシが消し飛んで、ワイヤーだけが直接アーマチュアに触れて、どうにか動いていたような感じでもあります。
ここは純正品をオーダーする時間もコストも惜しんで、何とかならないか考えてみましてホームセンターで電動工具用のモーターブラシがたくさん並んでいることに気が付きました。
その中で、リョービ用のCR-3というブラシは、幅を少し削ればフィットしそうなので。これで実験してみることに。まず荒めのサンドペーパーで幅を細くして。素材は柔らかく鉛筆の芯のような感じなので楽に削れます。それからワイヤーを元々あったブラシのワイヤーにハンダ付けして、組み立ててみます。
これで通電すると、見事に回りました。
何と160円でセルモーターを再生できるわけです。ただし、ご覧のように配線のワイヤーが細いので、流せる最大電流は低く実用性はには乏しいかもしれませんが、再生する過程を楽しんだり、実験目的としてはとても面白いです。
組み付ける際にはスプリングで押し出されているブラシを広げてアーマチュアコアを取り付ける必要がありますが、これが意外と難しいのです。ワイヤーを痛めかねない荒療治なので余りお勧めできませんが、ハリガネを使ってワイヤーの根元を外側に引っ張りブラシを広げておく方法もあります。
もちろん、正式な修理には純正品をお勧めします。
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うちのV100はクランク修正のページでもご紹介しているように、始動はセルオンリー仕様です。
それでも、これまでに始動に困ったことは、たった2回だけでした。
1回目は、クランクケースに接続しているアース線の接続部が錆びて接触不良を起こしていたこと(風雨にさらされる場所なので)。2回目は、面白いことに、スライドピースの割れた残骸がセルモーターとセルギアの間に噛み込んでロックしていたことです。スライドピースの破片をきちんと回収していればこんなことにはならなかったのですが…、ケース内は良く清掃しておかなければならないという教訓でした。