ツーリングモニタは、ワンチップマイコンを使用したマルチメーター
これまでにメーターユニットは改修を行ない、とりあえずは満足のゆくものとなっていたのですが、更なる機能として、タコメーター、気温計、トリップメーターがあれば、と思っていたところ、これらの機能を満たしてくれる「ツーリングモニタ」というマルチメーターを作って販売している方のサイトに出会いましたので、早速これをV100用に流用できないか検討してみました。
ツーリングモニタを販売している、“あおでん”さんのページ
ただし対象がマジェ250など、デジタルメーターの機種向けのものなので、V100でスピードパルスの信号をどうしたら得られるか、が実装に向けての大きな壁となっていました。秋月で扱っているOH182/Eという非接触回転速度センサがありまして、これを基に車速パルサを製作することにしました。
センサの設置場所は、メーターギアにしました。万が一メーターケーブルが切断したとしても、ツーリングモニタの方では車速を確認できる、というフェールセーフの設計思想でもあります。
ホイールから回転を受けて駆動されるプラスチックのピニオンギアは、更にウォームギアを回転させ、こちらは金属製なので前述のデバイスにてピックアップするのには最適です。
メーターギアのケースは、一見すると金属製のようにも見えますが、実はプラスチック製です。ウォームギア周辺のの肉厚は4.5mmもあります。
ウォームギアの歯数は9枚
タイヤ1週で17パルス検出という仕様になります。
ちなみにメーターギアのオイルシールは単体では部品が供給されていませんが、34-48-5 というサイズなので、同じものを他社のばら売りしているメーターギアのパーツから見つけられるかもしれません。
ウォームギアの埋まっている場所をを目指して、カッターで削ってゆき、ついには小穴が開いてウォームギアが見えるようになるまで削ります。ギアとの距離が最短になるように、また実際にLEDを点滅させる実験回路を繋いで、検出具合を確認しながら、ちょうど良い位置にセンサを設置しました。
OH182/Eはデバイスの横方向に通過する金属ギアの山を検出します。ウォームギアの山に対して直角になるような位置に設置すると、このように斜めになります。
エポキシボンドで固定し、配線をハンダ付けした後には、RTVゴムで固めました。
ところで、OH182/EのHiの出力は1.6Vなのです。これではツーリングモニタの入力には低すぎるのでオペアンプLM358Nを使用してスピードパルスを増幅しています。そのための追加の回路も設置して、これで十分に動作することを確認しました。
左上のガラエポ基板の部分が追加した増幅回路です。
表示部の実装はとりわけ苦労したところです。
あおでんさんから供給していただいた防水のディスプレー部分は、V100のハンドルカバー上に設置するには大きすぎましたので、超小型LCDキャラクタディスプレイモジュールを購入して、スマートにマウントする方法を模索しました。
こんな感じで、右側にマウントを試みます。仕様が固まれば、ザックリ切込みを入れて。
タカチプラケースを加工して液晶のケースを作って。レンズは対候性に優れたアクリル版です。
右がマウント途中のところ。ケースやレンズはエポキシボンドで固定してしまうので、メンテナンスのことは考えていない造りとなっていますが。
こんな感じで。ビルドインすることができました。ちなみに、左側のスモークのレンズ部分は、レーダー探知機の窓です。
本体ユニットは、フロントカウルのステー上部に取り付けました。ここも風雨にさらされるので、防水対策には万全を期します。
さて、搭載の効果はというと、まずタコメーターが装備されたことでエンジンのパワーバンドを把握でき、変速比計も付いているので、変速域やトップギア状態についても数値で具体的に把握できるようになりました。
これは、セッティングを詰める際に大変重宝していますし、ベルトの滑りや使用限界を推察することもできています。
さらに最高回転数、最高速度の記録も取れますので、セッティングの詰めや経時変化によるコンディションの変化を知ることもできます。
ツーリング中には、トリップメーターがあるおかげで、航続距離と比較しての最適な給油タイミングを見定められますし、燃費の記録を取るためにも大変役立っています。
気温計があることで、峠の寒さなどを数値で判断できますから、ジャケットを着るかどうかなど、装備の選択に関しても重宝しています。
表示モード切替スイッチは、平型タクトスイッチを、ハンドル左グリップ手前側に取り付けてあり、左手親指にてコチコチと押して切り替えるようになっています。
写真はツーリングの途中で、トリップ2の表示。
満タンにしてから146.74Km走行しています。
回転数1290rpm
気温17.3℃を表わしています。