2013年2月 | ページ 5

カテゴリ: V100エンジン — 2013/02/05

ある日、突然セルモータが回らなくなった。

こういった場合は、大抵ハンドルスイッチ側の接触不良か、スターターリレーの動作不良が原因のことが多いのですが、この度は違っていました。
何と、スターターモータ自体の故障。しかもバラしてみるとブラシが磨耗しきっていて無くなっていました。これは、磨耗し切ったブラシの残骸。

このときの走行は4万キロ弱。中古で手に入れたばかりの機体でもあり、事情は分かりませんが、始動性が悪かったのか何かで、よほどセルを酷使していたのかもしれません。ブラシが消し飛んで、ワイヤーだけが直接アーマチュアに触れて、どうにか動いていたような感じでもあります。

ここは純正品をオーダーする時間もコストも惜しんで、何とかならないか考えてみましてホームセンターで電動工具用のモーターブラシがたくさん並んでいることに気が付きました。
その中で、リョービ用のCR-3というブラシは、幅を少し削ればフィットしそうなので。これで実験してみることに。まず荒めのサンドペーパーで幅を細くして。素材は柔らかく鉛筆の芯のような感じなので楽に削れます。それからワイヤーを元々あったブラシのワイヤーにハンダ付けして、組み立ててみます。

これで通電すると、見事に回りました。
何と160円でセルモーターを再生できるわけです。ただし、ご覧のように配線のワイヤーが細いので、流せる最大電流は低く実用性はには乏しいかもしれませんが、再生する過程を楽しんだり、実験目的としてはとても面白いです。

組み付ける際にはスプリングで押し出されているブラシを広げてアーマチュアコアを取り付ける必要がありますが、これが意外と難しいのです。ワイヤーを痛めかねない荒療治なので余りお勧めできませんが、ハリガネを使ってワイヤーの根元を外側に引っ張りブラシを広げておく方法もあります。

もちろん、正式な修理には純正品をお勧めします。

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うちのV100はクランク修正のページでもご紹介しているように、始動はセルオンリー仕様です。
それでも、これまでに始動に困ったことは、たった2回だけでした。
1回目は、クランクケースに接続しているアース線の接続部が錆びて接触不良を起こしていたこと(風雨にさらされる場所なので)。2回目は、面白いことに、スライドピースの割れた残骸がセルモーターとセルギアの間に噛み込んでロックしていたことです。スライドピースの破片をきちんと回収していればこんなことにはならなかったのですが…、ケース内は良く清掃しておかなければならないという教訓でした。

カテゴリ: V100エンジン — 2013/02/05

V100のエアクリーナーボックスは簡単な物

であるから長期間のマフラーからの熱を受け続けることで変形したり、度重なる開閉に耐えられず、タッピングスクリューを受けている部分がなめてしまうなどのトラブルが発生します。

これらによってボックスの密閉が悪くなると、余計なところからエアーを吸い込み、空気量の微妙な変化によって、セッティングに悪影響が出ます。

そこで、下側タッピングスクリューを受ける部分に、本来は木材用のものである鬼目ナットで対処することにしました。
エアクリーナーボックスの外蓋は、M6のスクリューで留めることになります。
これらはホームセンターで普通に手に入るものばかり。

鬼目ナットをコンロで軽く焼いて、プラスチックを溶かす感じでヘキサゴンレンチで裏側から取り付けるわけです。
作業はそれほど大変ではありません。
これでM6のスクリューで留めることができます。

上に見えるのは、エアクリーナボックス排水用の小さな部品です。これが詰まってしまうと中に水が溜まることもあります。今回、劣化固着したため、これも交換しておきました。

セッティングを狂わせる要因として、エレメントを支えているプラスチックのサポートが変形することも挙げられます。この変形によってエアエレメントの外周部で接触圧力の弱くなる箇所が出てきて、そこからエアーをたくさん取り込んでしまうようです。

セッティングが落ち着かない場合、この部分は要チェックです。これは非常に安価な部品なのですが、頻繁に交換するのも納得が行かないので、1mm厚のアルミ版を削って、金属製のサポートを作ってしまいました。
これで安定運用ができています。

カテゴリ: V100エンジン — 2013/02/05

クランク左、プーリー側のねじ山が逝っちゃった!

という経験をされた人は少なくないのではないでしょうか。
以前にヤフオクで、ここのナットとクランクシャフトを溶接で止めて応急処置している、二度と分解できないエンジンが出品されていたのを見たことがあります。この逆ねじの部分はとてもデリケートだと思います。
所有機も、この部分をしっかり締めたはずなのに、少し走行するとすぐに緩むようになってきておかしいなあ、と思いつつさらに締め直してみたところ、ズルッときて「あ゛…」、で終了です。この一瞬にしてV100は全く運用できなくなりました。
こうした場合、正攻法の修理はクランク交換か、中古のE/G載せ替えということになりますが、時間もお金もかけられなかったので、ダイスを買ってきて自分でねじ山を立ててみることにしました。これをやれば当然ながら、ねじ山は正ねじになります。

まず、M10x1.5のダイスを用意するのですが、最初はホームセンターで格安に売られているタップダイスセットを買ってきて取り掛かったものの、ダイス径が小さかったこともあり、大きな力に耐えられず工具の方が壊れてしまいました。
そのため38径の本格的なダイスとハンドルを買ってきて、気を引き締めて再びトライします。

切削油についても、CRCとかスプレーグリスなど色々試しながら作業してみましたが、結局専用の切削油が一番すべりが良くて作業効率が良かったです。
ダイスは山を立てようとするシャフトに対して正確に直角に当てて少しだけ切っては戻し、切削油を付けながら回しては戻し、という動作を繰り返して、ちょっとづつ地道に切って行くのですが、まず作業を始めてみると、最初の取っ掛かりが難しいことを思い知らされました。
少しでも食いつきやすくするために、やすりで角を落としてみたのですが、面取り程度の削りでは、まるで歯が立ちません。

そこでシャフトの少し奥の方からテーパーに仕上げるような感じで、削ることにします。
この時均等に削るために、禁断の裏ワザですが、セルギアだけ仮付けしてエンジンを始動して削ってみました。回転中セルギアがガタつくのは無理もないことですが、飛び出してきて外れてしまうと手裏剣状態になってしまうので、固定方法や作業には気を遣いました。(決してまねをしないで下さい)
確かにこれが効いてテーパー加工ができたので、細くなった部分からダイスは楽に食いついてくれて山を切り始めることができました。
今考えて見ると、最初はM12x1.5のダイスで始めて、徐々に径を小さく(谷を深く切削するように)して→M11x1.5→M10x1.5という具合にダイスを変えてゆけばもう少し楽だったのではないかと思います。

クランクシャフトの反対側では、空冷フィンを取り外し、ロータとクランクケースのねじ穴を利用しステーで固定し、クランクが回らないようにしてあります。
とにかく、クランクの材質はかなり固いものなので、なかなか作業が進まないです。しまいにはダイスが割れてしまうし、ハンドルも固定ビスがへばってきて、まるでクランクの材質に負けている感じです。

ダイスは2個目を投入してようやくある程度の山を立てることができました。それでも計画よりも浅い位置のためこのままではナットひとつでフェイスを固定することはできません。
そこで純正のナットをスペーサー代わりにかまし(クランク側はズルズルですから)ワッシャと、更にスプリングワッシャを入れてM10のナットで留めることにします。

後日、この写真の時よりも更に作業を進めたので、もう少しワッシャの枚数を減らすことが出来ています。確かに気力の要る作業ではありましたが、それでもこれで再び運用できるようになりました。

その後も全く問題なく運用していました!
駆動系のメンテナンスで何度も開け閉めしているのですが、ねじ山に起因するトラブルは全く発生しなかったです。
最終的には引退までの間、この修正クランクで約77,000Kmまで走行してた実績があります。
但し始動がセルオンリー仕様になってしまうのは仕方のないところですが。セルモーターのメンテとバッテリーの管理さえしっかり行なっておけば、全く問題はありません。
あえて取り上げれば、始動で困ったのは塩害でエンジンアースが接触不良になった時と、スライドピースのかけらがスターターギアに噛み込んだ事例の2回だけでした。
(ケース内を掃除していなかったのがいけなかった)

カテゴリ: V100その他 — 2013/02/04

航続距離200Km以上が一つの目安

満タンでどこまで走れるか、特にG・Sの少ない山間部を走る際には給油のタイミングを誤ると、あわやガス欠となりますので、ツーリングでは航続距離が大変重要です。
燃費向上のために押さえておきたいポイントや、実際に役立っているノウハウについて記します。

燃費とパワーはある程度両立する
パワーを上げるには、燃費が犠牲になると思われがちですが、極端にピークパワーを求めない限り、かえって良好な結果が得られたりもします。
実用域でのパワーが上がれば、加速時のスロットル開時間が短くなりますし、全体的にスロットル開度が小さくて済むからかもしれません。ボアアップも良い結果を生みました。

燃費は吸排気の効率によって大きく左右されます。燃費向上に著しく貢献したのは、かつてヤフオクで売られていたノーマル改マフラーというものでした。
外見はノーマルそのものですが、後ろから見ると排気管が太くなっているので見分けがつきます。中低速域が太くなった分、燃費向上に貢献したと考えています。
これは排気の開口部だけでなく、中身も手を加えられているとか。そしてシリンダーとの接続部、エキパイ部分の内部の段差も、ルーターで丁寧に削ってありました。

排気抵抗でデチューンするというのはメーカーも良く使う、確実にパワーを押さえる簡単な方法なのです。
かつて子供向けのPW50(キャロットと同一のエンジンのオフロード車)では、マフラー接合部にワッシャーのようなものを入れて口径を絞っていましたし、2サイクル4気筒マシンのRZV500でも、国内仕様はパワーを下げるためエキパイ内側にカラーを溶接して内径を絞ってありました。
スクーターだとマフラーの詰まりで極端にパワーダウンすることを経験ずみの方も少なくないと思います。
そのようなわけで、排気抵抗はパワーに直結、ひいては燃費を左右する要素なのです。

このノーマルマフラー改も、装着以前は26~29Km/Lほどだった燃費が、コンスタントにL30Km以上走るようになりました。(前のが詰まり気味だったのか?)ロングツーリング時に37Km/Lを記録した事もあります。ただ、この時はメインジェットのセッティングが薄めであったことも確かですが。

そのセッティングですが、燃費にストレートに影響を及ぼすのが、ニードルのクリップ位置です。
巡航速度域ではスロットル開度は極端に絞られ、ニードルで計量したガソリンで走っている状態です。
M/J変更の場合はそこまで顕著には変化が現れず、満タンにするサイクルで、じわっと数字に変化が出る程度になります。
2号機の場合、スロットル小開度域でガスが薄そうだったのでニードルの取付け位置を上げ(クリップを下げ)ることにしましたが、極端な燃費低下がみられましたので、クリップの下にワッシャを入れて中間のクリップ位置となるようなセッティングにしています。
それで、55mmピストンのボアアップと、キャブ拡大ビックリードバルブの装着までしてありますが、ツーリングでは、33Km/L以上がコンスタントに出ています。

燃費は乗り方による個人差もあるわけですが、走りは基本的にスタートダッシュをかけて(安全上)後続車との距離を開けておいて、後は流れに合わせた巡航速度を保つ、というものなので、スタート時はそれなりに開けています。
時にはガバッと開けてゆっくりな車を抜かせてもらって、脳にα波が出るような快適な巡航速度を維持するようにもしています。なので、燃費の追求にばかり腐心しているわけでもありません。

6LタンクのCE11Aですが、かつてはボアアップのみの状態でも満タンで200Km以上走った事がありました。
この満タンで200Km以上走れるチューニングを、ひとつの目標値としています。
そうするとリッター当たり33Km以上の燃費が求められることになります。
燃費はExcelで毎回付けていますが、それがコンディションを把握するためにも役立っています。時々行なう最高速TRYと合わせて、ベルトの減り具合などを判断する材料になります。
また、冬は燃費が悪い傾向にある事もわかりました。オートチョークが開く開度の大きさと、開時間が長くなるので仕方ないのでしょう。
燃費Excelのダウンロード (nenpi.lzh 9.33KB)

■燃費を悪化させる要因
吸排気系の変更、セッティング以外にも燃費に影響を及ぼす要因があります。これらは日頃から点検しておくと良い項目です。

フロントブレーキまわり
要はブレーキの引きずりに注意することです。
キャリパーの横スライドを支えているピンが2本あるのですが、下側のピンが通る穴の部分(キャリパー本体のアルミ)は内部が真っ白に錆びて内径を圧迫している事があります。そうなるとスライドが重くなり、パッドの片当たりや引きずりを起こします。そうなっていたら分解して、ゴムブーツも交換し、内部をペーパーがけする必要があります。
ピストンまわりもAG100T型以降はダストシールが簡素化されていますので、ダストシールの収まっている溝が錆でガサガサになったり、シールのめくれ、固着などによりピストンの動きを渋くする事があります。こうなるとブレーキの効きも悪くなっているはずですので、常にキャリパーのコンディションには気を遣う必要があります。

フロントホイールベアリングも意外と弱いのでチェックが必要です。
ディスク側のオイルシールがヘタリやすく、隙間ができて雨が浸入するまでになると、B/Gが錆びて異常磨耗、そのようにして、Fホイールにガタが出て、ディスクとキャリパーの当たり方が一様ではなくなります。ということは引きずりが発生して、走行抵抗が増えるということになります。

点火系
CDIの研究ページでも触れていますが、最終型以外はクランク1回転で2回の点火があり、これがプラグ寿命を短くしています。プラグは3000Km走行以内で交換した方が良い結果が得られます。
イリジウムプラグは、所有機では期待したほどの効果は出ませんでした。結局、標準型を早めのサイクルで取り替えることにしています。
そして、CDIユニットの端子の接触不良や、メインキーの接触不良、プラグキャップとプラグコードの差し込み不良なども燃費に悪影響を及ぼしますので、日ごろからの点検が大切です。

タイヤ空気圧
基本中の基本ですが、いつの間にか低下したまま運用し続けていたこともあります。まめにチェックし、やや高めに設定しておくと良いのは言うまでもありません。

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